カザフスタンは本当に土地面積が広く、土地によって気温も自然も人々のメンタリティも生活水準も大きく違う。なので、一言で
「カザフスタンはこういう国です」
という風に説明するのは難しいのだが、気候について言えばほぼどの場所も「大陸性気候」だ。
私の住むカザフスタン中部の都市カラガンダは、大陸性気候の中でも特に極端に気温差が激しいことを意味するрезкоという言葉が付いた、резко континентальный климатという気候帯になっている。
日本語で訳そうとしてネットで調べても正しそうな名称が見つからないのだが、ただ単に「大陸性」ではなく「急激大陸性」みたいな感じの気候で、その名の通り非常に温度差が激しい。
まずは一日の中での温度差。朝15度というさわやかな気温が、昼ごろから一変して夜には0度以下になってしまうこともあるし、そこから次の日の昼には25度を超えて少し暑く感じる気温にまで上がったりする。
一年を通しての温度差も大きく、マイナス40度からプラス40度まで、この場所にいるだけで凍え死にそうな寒さと、カラカラに干からびそうな暑さを経験できてしまうのだ。
いつどんな天気になってもおかしくないこの土地には、さらにもう一つ、気候をさらに急激に変えさせる【人工的】要因が存在する。
それが、「カザフスタンといえば…」でおそらく日本人の7割が答えるであろう「バイコヌール」だ。バイコヌールは、あの有名なソ連の宇宙飛行士ガガーリンの乗ったロケットが発射された場所でもあり、若田光一氏など日本人宇宙飛行士も発着している宇宙基地。
が、そもそも我が町カラガンダとバイコヌールは地図上で確認すると、1000kmほど離れている。
(以下の地図でピンが立っているところがバイコヌール。右上のほうにカラガンダがあります)
こんな遠くのバイコヌールと一体何の関係があるのか。
それが「大あり」なのだ。(と地元の人は言っている)
ロケットや衛星がバイコヌールから発射されると、大気圏に穴が開き、その影響で大気に冷たい空気が大量に流れ込み、天気が一変してしまうのだという。しかもこの影響は1000キロ離れたカラガンダのみならず、その先の都市にまでも影響することがあるらしい。
ここに来た当初は「そんなことがあるもんだろうか・・・」と心の中で失笑していた私も、「ロケットが発射された」というニュースを聞くと、実際その2~3日ごから約3日間にわたって急激に天気が悪くなり、グンと寒くなる。という経験を何度もしてきた。
「あぁ、春って素晴らしい!!」とようやく長い冬・雪解けを過ぎて、23度くらいの暖かなそよ風の日々を楽しんでいたと思ったら、いきなり翌日には朝から雨・雪・あられが15分ごとに代わる代わる吹雪く天気に一変してしまったのである(2014年4月末)。体感温度はほぼ0度くらいだったと思う。
いったいなんなんだ!!?
と思っていたら、ロケットが発射されていたとのこと。
いきなり冬に舞い戻ってしまったことに人々がぶーぶー文句を言っていたのは言うまでもない。。
もともとステップ地帯に作られた都市なので、風が強いことは日常茶飯事なのだけれど、こういう「人工的」な原因による天気の悪化では、大抵いつも台風並みの風がゴーゴー吹く。
台風は夏に襲ってくるからゴーゴー吹いても怖いだけで寒くはないが、ロケット発射後の寒風が台風並みにゴーゴー吹くともう居ても立っても居られない。。。
冬場に経験するマイナス30度もつらいけど、暖かくなってからの寒風は体にこたえる。
ロケットのせいで天気が変わるという「都市伝説」的な話に以前は深く懐疑的だった私も、今ではすっかりこの地元に染まりまともに受け入れ地元の皆さんと一緒にぶーぶー文句を言っている。
日本の研究者さん、実際のところどうなのか検証してくれないかな。。と思ってます^^;