長期滞在中しているセルビアの隣国、マケドニアとアルバニアの堺にOhrid(オフリド、またはオフリト)という名前の湖があります。去年の9月に初めて訪れたのですが、予想外に良かったので、「マケドニアの世界遺産、透明度高く輝くオフリド湖と旧市街は美・安・旨がそろった二度行きたい名所」という記事を書きました。
去年はちょっと時期を外してしまい寒くて泳げなかったのと、夫の帰省中に友達と出かけていたというのもあり、まだオフリドを見たことのない夫を案内すべく、また今回*こそはあの湖で泳いでみたい!という思いで行ってまいりました。
注*:「今回」と書いていますが、これは今年の夏の話です。すでにだいぶ寒い11月ですが…今の今まで記事に書けなかったもので。。あしからず。。
なんてことない旅行記ですが、写真を多めに入れているので、このあたりの旅行を考えている方は雰囲気がつかめるかなと思います。
夏真っ盛りの7月半ば、オフリドへ
マケドニア出身の友達に「オフリドは海と違って湖、しかも山に囲まれた盆地だから、水温が上がる時期が短い。7月の初め頃からシーズンになって8月後半にカラスが水浴びし始めたらもう泳げなくなるよ」とのアドバイスをもらい、今回はしっかり夏真っ盛りの7月半ばに計画。
セルビアはちょうど猛暑が始まって40度近くなるころ、私たちはオフリドに向かって出発しました。セルビアの首都、ベオグラードからオフリド行きのバスに乗って9時間の旅です。
夜12時に出発し、現地の朝9時に到着する夜行バス。日本の長距離バスみたいなリュクスなのではなく、いわゆる「普通の」長距離バスです。飛行機のエコノミーに9時間のるのと同じような足パンパンになっちゃう感じの旅です。途中2回トイレ休憩&国境越えの時に歩けるだけいいですけどね。。
国境越え
ベオグラードから南下して、明け方、薄明るくなるころに国境に到着。海を越えないと他の国に行けない日本に長く住んでいた人間にとっては、この陸続きの国境っていうのが未だに何とも不思議だったりします。
見た目はちょっと大きめの高速道路の料金所みたいな感じで、まずはセルビア側の通関から出国手続き。そしてそこから数十メートル行ったところにマケドニア側の通関で入国手続き。
カザフスタンにいたころは入国、出国のたびに顔写真を取られたり、大した所持金もないのにイチイチ「お金はいくら持っているのか」と聞かれたり、何だかいつも居心地が悪かったので、いまだにその名残で国境越えはドキドキしてしまいますが、何事もなく無事通過。そしてやたらと引っ掛かりやすいカザフスタン国籍のパスポートを持つ夫が何事もなく出国・入国できたのもほっと一息。。
オフリドは小さなマケドニアの中でも南西に位置しているので、マケドニアに北から入国するとさらに4時間くらいバスを走らせる必要があります。
セルビアの南部もそうですが、マケドニアも田園風景や自然豊かな山間を楽しむことができます。
オフリド到着、宿まで
午前9時ごろにバスターミナルに到着。前回は一緒に行った友達の友達が現地の子でほぼまかせっきりだったのですが、今回は夫と二人。ここから予約したアパートまでどうやって行くか…、どれくらい英語やセルビア語が通じるものか…と若干心配していました。タクシーにぼったくられないかなとか、これはいつでもどこでも不安材料。。
タクシーの運転手さんに「この住所まで行ってほしいんだけど幾ら?」と聞いたら「150ディナール」(100マケドニアディナール=200円程度!)だと。凄い物価安。
しかも、「マケドニアの通貨がまだないんだけどどうしたらいいか」といったら、「このバスターミナル周辺にはATMも両替所もないからまず中心部に寄ってユーロを両替しよう。でも中心部まで行くと200ディナールかかるよ」と。
「150でも200でも、そんなにお安くてありがたい!」と思いつつ、無事、レートの良い両替屋さんに行くことができ、アパートまでも無事同着。しかもアパートのオーナーの電話番号を伝えると、自ら電話して「ほら、お宅のところのお客さんが到着したよ」と伝えてくれた。
こんなちょっとしたホスピタリティ溢れるタクシーの運転手さんに出会って、早くも「この旅はきっといいものになるだろう」と勝手に予感(笑)
そして、オーナーのおじさんがタンクトップでお迎え。私が日本人だと知ると「オ~!ヤパ~ン!!」と言いながらハグして歓迎してくれました。必要以上に(?)気さくな方でしたが、こういう貸しアパートはホテルとは違うフレンドリーさが結構好きです。近くのスーパーはどこにあるとか、おススメのビーチはどこにあるとか、色々教えてくれました。
今回泊まった宿はキッチン付きの一部屋のアパート↓
Booking.comで評価が高かったので予約しましたが、キッチン用品からアイロン、ドライヤーなど、必要なものが一通り揃っていて、静かでいいところでした。ベッドのマットレスが若干硬めですが、一日歩き回って泳いでの後なのでぐっすり眠れました。
さて、詳細な情報を長々と綴ってしまいましたが、とにかくオフリドは旅の最初からフレンドリーな人が多くて、気持ちよく滞在できるというのを今回も感じました。
オフリド湖で泳ぐ
早速到着した日、昨年のリベンジ、ということで湖に行って泳いでみることに。
先回は気温20度前後と寒かったため、中心部から近い湖畔しか見なかったのですが、実は、湖に沿ってぐるっと、いろんなビーチがあるということが判明。
ビーチといっても、砂であるところはほぼなく(あるとしたら多分人工的)基本は小石があるか、あるいは、デッキが足のつかないくらい水位のところまで伸びていて、はしご(orジャンプ)で湖に入るか、という感じです。
そう聞くと「ええ~白い砂浜じゃないの」っておもっちゃいますが、白い砂浜じゃないのも意外といいものです。砂がまとわりつかないし。
私たちは白いデッキがあるカフェにいって、湖を見ながら太陽の光を浴び、マケドニア製のコカ・コーラとコーヒーを頼んで、しばらく横たわって旅の疲れをいやしました。
場所代とかは取られなくて、何か飲み物を注文すれば好きなだけチェアで過ごせる。しかも飲み物もバカ高くない。二人で4種類飲み物を頼んで600円くらいでした。
気温35度以上。暖かくて綺麗な空気と風景が心地よい。
こんな感じ↓
デッキから降りると足が若干つくかつかないくらいかの深さ。とにかく透明度が高い。(水底の石にコケが生えているのもしっかり見えるので、最初足が付くところでも立つのに勇気がいりましたが、意外とあの感触は大丈夫な感じです。海で海藻がまとわりつくよりは…)
湖の水は冷たいとよく言いますが、さすがに35度以上まで気温が上がると、水温も十分上がっています。
マケドニアのコカ・コーラは美味しいという夫。瓶入りだからっていうのと、まぁ確かに水はいいかもしれないけど…80%は気分的な問題でしょう(笑)
シーズンであるにもかかわらず、人が多すぎないのも魅力。周りの人の話す言葉を聞いていると、ヨーロッパ各地からの旅行者がいることが分かります。やはりバカンスといえば海、なので湖にはさほど人であふれることはないのかもしれません。静かなバカンスを過ごすには穴場だと思います。
基本、湖畔はどこでも泳げるような感じで、他にもこんな場所がありました。
そんなに水が好きとか泳ぐのが好きというわけではないのですが、泳げる場所に来たのに寒くて泳げないっていうのは何だかやっぱり悔しかったので、今回、冷たくなくて綺麗な水の湖で泳げたことに満足。
ボートでの移動~旧要塞~旧市街の散策
さて、オフリドのよいところは、泳ぐか日に焼けるか、という選択肢しかないビーチとは違って、旧市街を散歩したり、要塞まで登ってみたり、と他にもやれることがあること。
二日目には小型のボートに乗って昨年行かなかった崖の裏側から頂上の要塞に行ってみることに。ついでに湖側からの街の様子(↓)も見れます。
崖の反対側に来てみると、人がまずほぼいない。そして水がさらに綺麗。カヌーを楽しむ人たちも見かけました。
そこから要塞跡まで続く歩道を登っていくと、なんともいい感じの景色に遭遇しました。
エメラルド色の湖とそれを囲む低い山々の風景が印象的です。
少し上っては写真をとり、また少し上っては新たに見える景色に「オォー!」っと感動してまた写真を撮って…となかなか頂上にたどり着けない風光明媚な場所です。
そんなこんなで旧要塞に到着。
この日も気温35度以上。昨年の曇りがちな中での眺めも情緒あって素敵でしたが、今回は太陽がさんさんと降り注ぐ中での要塞跡からの眺めもやはりいい感じでした。
実はこの要塞の他にも、街の中に旧ローマ帝国時代からの劇場跡があります。本当に住宅街の中にあるので、前回は全く気付かなかったのですが、今回入っていってみると(無料)、なんとコンサートの準備をしていました。いまだに使用されているというのにも「さすがローマの建築」と思ってしまいます。
旧市街はどこもこじんまりとした住宅に狭い石畳の道、色とりどりの花が植えられていて、良いお散歩コース。
お土産屋さんも色々あって値段も手ごろなので立ち寄ってみるといいと思います。
夕暮れどきもまた情緒あふれる感じでした。日が暮れて暑さが引いてくる8時以降からは、いったいこんなにたくさんの人がどこにいたんだ?と思ってしまうくらい、湖畔のプロムナードやレストランが人々で賑わっていました。
フレンドリーでホスピタリティ溢れる現地の人々と、美しい自然、情緒ある旧市街での休暇は、4日間と短かったものの、ゆっくり心も体も休まる一時となりました。
おまけ:マケドニアの首都、スコーピエ
首都なのにおまけと書いてしまって申し訳ないのですが、スコーピエという街は何とも理解しがたい街です。オフリドの後、2日間だけ滞在したのですが、今回もやっぱり違和感が残ってしまう訪問となりました。
旧ユーゴスラビア連邦が崩壊してからほぼ20年くらいの間に首都の中心部の建設計画が始まったそうなのですが…
一見ヨーロッパ調の格式高そうに見える美術館なども、近くで見ると何だかチープな感じがしてしまったり、さほどスペースのないところに異様に大きな彫刻像があって圧倒されたりスケール感が狂うような感じです。
でも写真だとあんまりわからないですね…。行くとガッカリなのになぜか写真映えする街。。。
ただ、スコーピエにはトルコの影響が強く残っていて、美味しいトルコ系のスイーツが食べられたり、トルコ産の洋服や靴などの掘り出し物があったり、ショッピング&グルメはわりといいかなという感じです。オフリドに行く機会がったらスコーピエに立ち寄って一度見てみるのも損はないと思います。でも2日あれば十分。
長々と書いてしまいましたが、以上、今夏のマケドニア旅行レポート、最後まで見てくださりありがとうございました!