その日は突然にやってきました。
ドルが20%も上がった
2014年2月11日。マイナス20~30度の厳しい冬の真っただ中、さらに体が凍るようなニュースです( ̄Д ̄|||
このニュースが報道された日から人々の会話はその話でもちきり。私はこの言葉を聞いてもスグにその深刻さを理解できなかったのですが、その影響はこの3カ月で目に見える影響を生活に与えてきました。
以前の為替レートでは、
1USドル=約150テンゲ(カザフスタン通貨)
だったものが、この切り下げから、
1USドル=約185テンゲ(カザフスタン通貨)
になったわけです。
この影響を受けて「あれっあれ!!!?」って驚くくらいスーパーの食材の値段が一気に上がってしまいました。
例えばバナナの値段が以前は大体1キロあたり250テンゲで買えたのに、今は380テンゲが普通の値段です。仮に1ドル100円だとすると、250円で買えていたものが380円払わないと買えない。
この物価の上がりようはちょっとハンパないです・・・。
この物価の上昇に伴って年金や給料が同じように上がるかというと、もちろんそんなことはありえず、人々と話していると「家計が苦しくなった」ということに同意しない人はほぼいません。
その話題を持ち出しただけで
「うちは子供が何人いて、自分はどんな仕事をしていて朝から晩まで月曜から日曜まで休みなしに働いているのに、食費も交通費も光熱費も上がる一方でうんぬん・・・」
と一通り自分の生活の大変さについて語りつくし、ストレスを発散してから、最後にあきらめ気味に
「でもどうしようもないじゃないからね。。」
とため息を漏らします。
それでも食費や光熱費だけならまだいいんです。まだなんとかなる。
さらに恐ろしいのは…
この国は、カザフスタンのテンゲが日常使われる通貨ですが、なぜか住居はドルで売り買いされることが多いんです。
以前は一括払いでアパートが購入できるくらい、住まいは安かったのですが、ここ数年でおそらく5~8倍くらいは値段が上がったのではないでしょうか。
3年前に私が初めてカザフスタンに住むようになったときは、3000ドル(約30万円)あれば街外れの2部屋のアパートが買えるくらいでした。現在、2部屋のアパートは3万ドル(約300万円)以上することも珍しくありません。
そんな状況から、多くの人がローンを組んで住居を購入するようになりました。が、これが家計の危機の元凶になるとは誰も想像していなかったでしょう。。
例えば、仮に月々の返済を500ドルとした場合、
以前の為替なら 500ドル=75000テンゲ
↓↓
新しい為替レートでは 500ドル=92500テンゲ
です。。為替レートのせいで月々17500テンゲも多く払わないといけない。
きついですよね。近々アパートの購入を検討していた身としては見過ごせない状況。
ちなみに、ぐんぐんと価格が上がっていた不動産はここにきて頭打ちになったのか、若干値下がりを見せている模様。これはこれから購入する立場としてはありがたい話ですが。。ローンを組んじゃった人は何とも言えない状況ですよね。。
そもそも、上の写真を見ていただくと分かりますが、ソ連時代に建てられたかなり老朽化の激しいアパートが日本円にして300万、500万という値段がつくのは何ともおかしな状況なんです。なので、いつ価格崩壊が起きてもおかしくはない。なんとなく、日本のバブル時代~バブル崩壊を思い出させる状況ですが・・・まぁでも今後どうなるかは誰にも分かりません。
ただ、近くのウクライナで起こっている政情不安のニュースに心を痛めている人も多く、「自分たちはまだ経済的な問題くらいで済んでいるんだからありがたい方だ」と自分の状況をポジティブに見ている人たちも少なくありません。
生活は大変でもちろん不満はいっぱいあるけれど自分や家族の身の安全はまだ危機的じゃないだけありがたく思わなくては、という感じですね。
カザフスタンはソ連の崩壊後、その日食べるものにも困るくらい非常に苦しい経済状況を90年代に経験した国です。それを乗り越えてきただけあって、状況が苦しくても生きていく強さを学び取ってきたのかもしれません。
日本の温室育ちの私にとっては学ぶことが多い国です。
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