大好きなセルビア。これからも住みたいけど、でもこれだけはちょっと勘弁!な3つのこと

ベオグラードに来てから1年3カ月たちました。セルビア語にもだいぶ慣れてきて、通常の暮らしにはさほど困らなくなったり、現地の人の会話が分かるようになってきたこの頃。

私たち夫婦はベオグラードの生活にはかなり満足しているほうで、今後もしばらくここに滞在し続けたいと思っていますが、慣れてきたからこそ見聞きするセルビアの良くないところも色々あります。

これまではベオグラードの生活の良い面を中心にブログに書いてきたので、今回はちょっとセルビアのマイナスな面に目を向けてみたいと思いました。

一般にセルビアの問題としてよく話題になるのは

  • 失業率の高さ:20%とも30%ともいわれる
  • わいろなどの不正
  • 公共サービス(医療その他)のレベル
  • 人々の怠惰

などですが、どれも以前住んでいたカザフスタンと比べると「まぁ問題なんだろうけど全然マシだよね」という感じになっちゃいます。話に聞くと結構「えぇ~」と思うようなこともあるのですが、まだこの国でさほど嫌な思いを自分が経験していないからか、今のところ上記のようなことはさほどストレスにはなっていません。

個人的に生活していて「これはちょっ辛いな」と思うことを考えてみて、パッと思いついたのは以下の3つでした。辛い度の低いものから順に書いていきます。笑

 

セルビアで辛いこと第3位: 食後に甘いものをコーヒーやお茶なしで食べる習慣

セルビア人の家族が時々ご飯に呼んでくれることがあるのですが、大抵の家庭では以下のような順番で飲み物、食べ物がでてきます。

到着後

コーヒー、お茶、お水、ジュース、ラキヤ(バルカン半島の強いお酒)、アルコール類など、まずは何を飲みたいかと聞いてくれます。ここで大抵は食前酒としてラキアなどアルコールか、コーヒーを頂くことが多い。で、しばらくは飲み物だけでしゃべったりしていて、そのうちじゃあご飯にしましょうか。となる。

メインを頂く

サルマ(バルカン地方のロールキャベツ)やスープなどの食事がでてくることもあれば、スモークハムに塩味のマフィンのような軽食が出されることもある。お客さんがたくさんいるときは軽食風でソファに座っていても食べやすいものを出してくれることが多いような気がする。

食後

ここで最後に出てくるのが自家製の甘ーいケーキ、チョコ菓子、クリームたっぷりのクレープ(パラチンキという)など。日本人の感覚からすると相当に甘味が強い。大きなクリームたっぷりの甘いケーキやクレープをお茶もコーヒーもなしに食後に平らげるのは中々至難の業だったりする。

でもコーヒーは既に最初に飲んでいるため、ここでケーキと一緒にコーヒーやお茶が出てくることはない。

ここに住み始めて間もないころに一度だけお願いしたことがあって、「甘いものを食べるのにお茶かコーヒーを一緒にお願いできますか」と夫が頼んだら、かなりビックリされたことがある。(ロシア人の夫からしてもお茶なしに甘いものを食べるのはなかなかキツイらしい)。その時はとても美味しいタイムのハーブティを淹れてくれた。

頼めばお茶でもコーヒーでも淹れてくれるに違いないが、何だか自分たちだけのために毎回お願いするのは気が引けてしまう。

 

ただ、食事じゃなくてお茶に呼ばれるときは別で、コーヒーと甘いものを一緒に出してくれるのが普通。食事となると前述のような順番になるのが未だに不思議。

セルビア人のもてなしの心は素晴らしいと思うのだが、あの食後の甘いケーキはちょっと辛いと思ってしまう。

 

※セルビアでは、食べたくないときはハッキリ「ネ、フヴァラ」(No thanksの意味)と断っても基本大丈夫。失礼にはならない。でも雰囲気的にはやっぱり用意してくれたものは食べて「おいしいですね」と言ったほうが絶対にいい。

 

 

セルビアで辛いこと第2位:サマータイムが終わった後、11月~2月くらいまでの日暮れが早すぎ

この国は真冬でも朝6~7時には明るくなるようにタイムゾーンが設定されているのか、たまたまそうなのか知らないが、夏時間が10月後半に終わって1時間ずれると日の入りがぐっと早くなり、16時を過ぎるともう暗くなり始めてしまう。(時間がどっちにずれるか、ということを考え始めるといつも頭の中が混乱するのであえて書かないことにする。日本との時差で言うなら、夏は日本との差が7時間、冬場は8時間)

学生や仕事で朝6~7時台に家を出る人たちもいるので、そういう人たちのことを考えると確かに少しでも早く夜が明けたほうがいいよね、とは思うのだけれど、我が家の生活パターンにこの日暮れの早さは辛い。

これまで何度も朝型の生活に切り替えようと努力してきたのだが、大抵3日坊主で終わり。結局、夜型の生活を送っているため、朝はよほどのことがない限り7時などには起きない。大抵は8時~10時の間。

特に寒い冬場の朝、太陽も出ない曇りの日などは最悪で、朝10時になっても真夜中に起こされたような気分になる。ひどい眠気と闘いながらようやく起きてきて遅い朝食を取り、近くに買い物に行って家事や仕事をしていたら、「あれ?もう日が暮れちゃった???」と。

暗くなったころにアクティブになるような生活パターンはやっぱり好きではなく、毎日時間を無駄にしながら生きているような気がしてしまう。あれ、でもこれってセルビアがどうのっていうより夜型の自分たちの問題ですかね。。

でも辛い。春よ、早く来い。

 

 

セルビアで辛いこと第1位: 副流煙の被害は必至!な喫煙者の多さ

他の2つと比べたら比べ物にならないくらい困ってます。性別年齢関係なく喫煙者の多いこと。

私は色んな国を旅してきたけれど、ここまで煙草を吸っている人がそこら中にいる国はあまりなかったように思う。

歩きたばこも普通だし、セルビア人の大好きなカフェタイムももちろんタバコは欠かせない。カフェやレストランの分煙もさほど徹底されていないことが多いため、近くに座る人たちからの煙でカフェを出るころには髪の毛も服もたばこの匂いがまとわりつく

バス停で待っている人が5人いたら2人は絶対タバコ吸って待ってる感じ。

病院の前を通れば医師や看護師さんが病院の前で白衣姿でタバコを吸っているのを見かける。

知り合いから聞いた話では、少し前までは病院の中でもお医者さんがタバコを普通に吸っていたとか、妊婦さんが平気でタバコを吸っていることもあるとか。恐ろしすぎる!

 

あとは、子供と手をつないで歩いている母さんやおばあちゃんがタバコを吸っているのもよく見かけるのだが、明らかに子供に煙が回っており、あんな小さいころから副流煙をずっと吸わされているのが気の毒でならない。

明らかに経済苦で困っている人でもタバコだけは肌身離さず持っている姿を見るのもいたたまれない気持ちになる。経済的なストレスが大きすぎるのが原因なのか、たばこをやめられないから経済的にも苦しくなっているのか、何とも言えない感じだ。

自分が副流煙を吸いたくないというのもあるが、これほど喫煙者が多いのは何か社会に問題があるからに違いないという気分になってちょっと暗くなる。

最近は公共エリアでの禁煙や分煙をしっかりしたカフェが今後促進されていく兆しはあるようだが、本当に一刻も早く何とかしてほしい願っている。

 

 

 

というわけで書いてきましたが、書いてみて思ったのは、まぁそんなに「辛い!」っていうほど酷く辛いことではないなと。喫煙率の高さだけは本当に問題ですが、ロシア・カザフスタンのアル中の多さよりはマシかもしれません。

なんだかんだ、やっぱりここでの生活が好きなんだと思います。2017年もまたビザの更新がうまくいって滞在できますように!

ベオグラード中心部のホテル「モスクワ」のカフェ

ベオグラードの孤島「Veliko ratno ostrvo (大戦争島)」は地元っ子も大好きなお散歩コースだった

暑くなりました。昼間は30度を超える日々が続いています。

曇っていると湿度が高く、日本の東京近辺を思い出すモワっとした暑さ。
初めてのベオグラードの夏ですが、思った以上にカラッとしていません(笑)

そんな暑さですが、街行く人々を見るとなんだか夏が来て嬉しそう。

そもそもセルビア人は外の空気を吸いながら休憩するのが大好きな人たち。

summer in belgrade

夕方の涼しくなる時間帯には特に、カフェのテラスや川沿いのベンチなどでゆっくり過ごしたり、散歩をしたりする人たちがたくさんいて、緑豊かで暖かい時期を楽しんでいる感じがします。

ベオグラード新市街(Novi Beograd)~ゼムン地区(Zemun)までのドナウ川沿いも地元っ子がよく足を運ぶ場所。

私たち夫婦もとある真夏日の夕方に散歩に行ったところ、これまでにはみなかったところに道が!

なんと、ドナウ川に浮かぶ小さな孤島まで橋が渡っています。

Lido in belgrade

 

この孤島の名前はVeliko ratno ostrvo (英語:Great war island, 日本語:大戦争島)。
16世紀のオスマントルコによる支配があったころにこの名前が付いたらしく、実は歴史的にも重要な意味を持つ場所でした。

地図上で見ると、この島はサヴァ川がドナウ川と合流する場所にあり、さらに東側は川をまたいで有名な要塞カレメグダンがあるのが分かります。

ベオグラードは歴史を通じて周辺の強国に入れ代わり立ち代わりで支配を受けていますが、要塞カレメグダンを攻撃するために、敵軍(あるいは解放軍)はこの島にまず入り込み、そこから要塞への攻撃を行ったとのこと。

そんな歴史ある島ですが、北のほうの先端にLidoと呼ばれる小さなビーチがあります。そのビーチの周辺が夏だけ解放されるようで、せっかくなので島まで渡ってみました。

 

橋の上から見るベオグラードの街並み

DSCN0600

 

橋から見える島の先端部分

lido

 

これが島の地図

great war island

 

夕方ごろに行ったので泳いでいる人はおらず、小さなボートでおじさんたちが陽気に会話していました。とにかくものすごい小さなビーチ(笑)(まあここで泳がなくてもいいかなっていう感じですが、子供はうれしいかもしれません。)

lido
川で泳いだらシャワーもOK

lido
大きな木の下で食事や会話を楽しめます

great war island
緑豊かで水遊びができるなど、家族連れや友人たちとちょっとしたピクニックをするにはうってつけな場所だなと思います。
フラッと散歩するのもOK。夕方のそよ風に吹かれながら新鮮な空気を吸うのも気持ちが良いものです。

DSCN0618

ベオグラードで普通の観光やショッピングに飽きたら、こういうお散歩コースをあるいてみるのも、なかなか贅沢な時間。

散歩の途中でちょっとどこかのカフェや水上レストランに立ち寄って一杯のコーヒーorビールを楽しむのもまたいいですね。
島の場所はベオグラードの中心からだと、Zeleni Venacのバスターミナルから704,707,84番で「Karađorđev trg(カラヂォールヂェヴ・トルグ)」というバス停まで行き、そこから川のほうに歩いて数分です。

セルビア人は本当に「絶対に急がない」「何事もゆっくり」な国民なのか

セルビア人は外国人から見るとどんな人たちなのか。

私個人としては、まだ滞在期間が短いこともあり、はっきりと「これ!」と言えることはないですが、ここに3年以上住んでいる人たちから聞く「一般的なセルビア人」の姿にはある共通点があります。

 

セルビア人は絶対に急がない。

良く言えば、おおらか。

ちょっと悪く言うと、のんびり屋。

ひどく言えば、怠け者。…

 

「勤勉な」という代名詞で表される日本人とは「正反対」と言ってもいいほどのものですが、今日はそんなセルビア人の姿について、ここに住んでいる人たちとの会話から聞いたことをまとめてみました。

自由な時間を大切にする人たち

セルビア人は、自分たちの自由な時間を非常に大切にする人たちのようです。
そして他の人の自由時間も大切にする。

期限があっても、その日に終わらなければ次の日に回す。
週末終わらなければ、週明けから再開する。

 

仕事の期限は先延ばしにしても、自分の休み時間は確保する。

というのが彼らに根付いた考え方。(ヨーロッパはどこもそうかもしれませんけどね)

 

これはどういうところから分かる、というと。。

 

「パソコンの修理に来てほしい」と修理屋さんに電話したのに「明日行きます」と一週間言われ続ける。(ひどい場合は結局、修理に来てくれない)

 

いつも予約でいっぱいの人気の医者に対して「そんなにたくさん予約を受け入れないほうがいい。あなた自身の価値が下がる」とアドバイスする

 

平日でも昼間からカフェに座ってコーヒー一杯で何時間も雑談する男性がよくいる(あれ、仕事は?)

 

「日本人は勤勉だ。だからあんなに経済的に成長し、素晴らしいテクノロジーを生み出している。でも僕らセルビア人は怠け者だからね。日本人のように勤勉には働けないよ」と軽くジョークを飛ばせる(競争心とは無縁)

 

先日出会った、モスクワから家族で移住して3年になるロシア人の女性。

彼女は気候も食も良いセルビアの暮らしが気に入っているものの、
「この国の人は、本当に全く急がないのよ!慣れるまでもぅ本当にイライラした!!」
と不満をあらわにしていました。

モスクワと言えば、ロシアの首都、日本の東京と同じく通勤時の地下鉄の込み具合はすさまじく、人々が忙しく行き交う大都市です。サービスを提供するにも、当然ながらスピードが求められる。

それと比べたら…ここのサービスは「のんびり」なんでしょうね。

 

でも、自分の休みだけでなく他の人の休みも大切にするんだから、ある意味良いことなのでは?と思うのですが。。

 

ただ、一つ衝撃的だったのは、ある日本人の方から聞いた話。

あるお医者さんが手術中に「定時になったので」その患者さんを放置してそのまま帰ってしまったとか。
その患者さんは看護婦さんたちが何とか処置をして生き延びることができた、という。

「だから(=こういうことが起こるから)ここは看護婦さんたちが強い」とのこと。

 

「本当だろうか」と耳を疑いたくなる話ですが、多分そういうことがあったのでしょう。。
EU加盟を目指している今は、そのあたりも改善されてきていると願いたい(じゃなきゃ恐ろしくて病院いけない…)

 

カザフスタンから来た私たちとしては、

  • 愛層の良い人間味のあるサービス
  • 今のところひどく待たされたことはない
  • お店も朝早くから夜遅くまで開いている

というような感じで、さほど悪いイメージも、怠惰なイメージもないのですが・・・

 

カザフスタンも首都はきっと違うんでしょうが、私が住んでいた中堅都市レベルでは、

  • 愛層の良い店員など滅多にいない
  • 勤務時間なのに平気で長時間退席するのは当たり前
  • 気まぐれでお店が閉まるのも当たり前

という感じです。

(つまり前に住んでいた場所のサービスがあり得ないレベルだったということですね。。)

 

 

なぜセルビア人はのんびり屋と言われるのか

もちろん、皆が皆、昼間からカフェで談笑し、のんびり仕事をしているわけではないと思います。私の知っている人の中でも、日本人のサラリーマンと同じくらい忙しく働いている人たちもいますので…。でもそういう人の割合は日本と比べたらかなり低いのは明らかです。

 

「セルビアは歴史的に見ると、長年オスマントルコの支配下にあり、抑圧された生活を強いられていた。だから、「たくさん働く」=「奴隷」というようなイメージがどうしても抜けきらないのではないか。」

という風に言っていた方がいました。

 

なるほど…そういうイメージが染みついていると、「勤勉=善、怠惰=悪」が染みついている日本人のように働くなんてあり得ないって感じになりますね。

 

さらにセルビアと言えば、旧ユーゴスラビア。旧ユーゴと言えば共産主義。

共産主義時代には働かないでただ仕事場に座っていれば給料がもらえるようなシステムだった。そういう環境に慣れきってしまったから「一生懸命働く」ことができない。

(これはセルビアだけではなく、旧共産主義国ならどの国でも見られる問題。今そこから脱却するために色々頑張っているようですが…)

 

共産主義から脱し大量のリストラを経た現在のセルビアはどうかというと、経済危機。失業率は高く、20%とも30%(あるいはそれ以上)ともいわれています。そういう状況だから、良い仕事を持って仕事にやりがいを持つのも難しいのかもしれません。

失業率が高いのはセルビア人のゆとりのある気質のせいというわけでもないと思います。ヨーロッパとロシアの強国の間で揺れ動く小さな国ですし、90年代に戦争があったことも考えると、この国の人たちは強く生きていると感じます。

 

もしかしたら、戦争やその後のハイパーインフレといった厳しい時代を乗り越えて、今少しホッと一息ついているところなのかもしれません。

 

 

なんだかまとまりがなくなってしまったが、私はこのギスギスしていない、大らかな国民性が結構居心地よく、これくらいゆとりをもって生きていけるのがいいなぁ~と思うこの頃です。

ベオグラード旧市街の一風景

カザフスタン在住の私たちがセルビアにベタ惚れした3つの理由

「趣味は?」と聞かれて真っ先に「海外旅行」と答えるくらい、海外を旅してまわるのが好きだった自分も、まさか旧ユーゴスラビアの国、セルビアをいつか訪れることになるとは思っていなかったのだが、今回色々まわりまわって滞在することになったセルビアの首都ベオグラード

隣国のモンテネグロの海岸沿いはロシア人の観光地としてそこそこ有名らしく、ロシア人の主人は「いつかモンテネグロに行ってみたい。できれば移住したい。」と言い続けて約3年。

結婚前からの思い入れがようやく叶うかと思いきや、カザフスタン国籍のビザの問題であえなく断念し、「しょうがないからセルビアに行くか」的なノリで訪れることになったベオグラード(このあたりの詳細は過去の記事にて)。

 

旧ユーゴスラビアの国のなかだと、日本人ならクロアチアのほうがよほど観光名所が多く、訪れてみたい国かもしれない。世界遺産もあるしアドリア海に面した風光明媚な場所も多い。それに代わって、セルビアといえば内陸国だし、これといった世界遺産もなく、イマイチパッとしないというか、わざわざ訪れるほどではないという感じ(少なくとも以前の自分の中での位置づけはそんな感じだった(ゴメンよ、セルビア)。

 

しかし、ベオグラードはなかなかいいところなのだ。

 

「いつかはモンテネグロに」といっていた旦那も、今回の滞在で「できるだけ早くセルビアに移住しよう」と言うようにまでなった。

 

今回の記事では、私たち夫婦が移住までしたくなったセルビアの良さを食・気候・人の三つのポイントにわけてアピールしてみたいと思う。(「日本からセルビアに行った日本人」ではなく、「カザフスタンに3年住んだ後の日本人」の視点で、カザフスタンとセルビアを比較しながら書いてみました。)

安くて美味しい!セルビアの食

日本からセルビアにいったとしたら、そこまで感動しなかったかもしれないが、カザフスタンの食の乏しさに疲れ果てた私にとって、ベオグラードのスーパーや街中のパン屋さんはまさにキラキラと輝く宝箱のような場所だった。

ベオグラード街中の八百屋
ベオグラード旧市街にあるお洒落な八百屋さん

 

カザフスタンは、中部以北に住んでいると、特に11月以降~3月くらいまで、雪に追われるため、作物は当然育たず、カザフスタン南部やウズベキスタンからの野菜や果物のみとなるのだが、当然ながら鮮度に欠けるし、何より価格が一気に2倍以上になる。

例えば、夏場は1キロ150円程度で買えるナスは、冬場は1キロあたり350円くらい。キュウリは夏場は1キロ120円、冬場は220円くらいが相場だ。

日本人の感覚だと、冬場の値段だって日本より全然安いじゃないか、と思いたくなるが(実際この国に初めて来たときはそう思っていた)、この国の物価に慣れてくると、こういう値段を払ってまで鮮度がなくて疲れきったような野菜を買うのはバカバカしいと思ってしまうのだ。

 

そこそこ冬場でもまともなのはジャガイモ、ニンジン、玉ねぎ、キャベツ、そしてロシアといえばの「ビーツ」くらいで、この4種類の野菜をメインに、あとは夏場に塩漬けにしたキュウリやトマトを食べて冬場を過ごすというのが大抵の家庭の状況。カザフスタンに来てからは、日本で普通に売っているほうれん草や小松菜などの葉物類、オクラ、サツマイモ、エノキやしめじなどを記憶から葬り去らないと生きていけない。日本の食の豊かさは本当に素晴らしいのだ。

 

前置きが長くなってしまったが、セルビアの食はどうか、というと、とにかく果物と野菜が安くて美味しい

市場だとリンゴは1キロ50ディナール(約60円!!)で買えるし、レタスなどの葉物野菜も新鮮で生き生きとしたものが100円弱で手に入る。

ちなみに、じゃがいもや人参、玉ねぎ、キャベツなどは1キロ当たり30~60ディナール(約36~72円)。夏場のカザフスタンの価格より安いんじゃないか、というくらいだ。

カザフでは高いブロッコリーやカリフラワー、紫玉ねぎなんかも安く手に入り、心も体も潤っていくのを感じたのだった。

 

現地で知り合いになった日本人夫婦の話によると、ベオグラードには中国市場があり、そこに行けば納豆や豆腐もあるし、時々レンコンとかサツマイモ、サトイモまで見かけると。(これは驚きだ!!)

 

カザフスタンでは、鶏肉、牛肉、豚肉すべて骨付きが当たり前で、料理が非常に面倒なことが多いのだが、ベオグラードのスーパーでは日本のように部位ごとにきれいに切り分けられていて、それでいて値段もカザフとさほど変わらない(日本よりはもちろん安い)。

 

セルビアは農業国なので、野菜や果物は特に安く、ウィンナーやサラミなどの加工肉食品も驚くほど美味しいものが気軽なお値段で買える。何もわざわざレストランに足を運ばずとも、普通にスーパーで買った食材で料理をするだけで、とても美味しい夕食をこれまた安くて美味しいワインとともに楽しめる。ビバ!セルビア!

ベオグラードのスーパー
ベオグラードのスーパー。セルビア産のサラミやウィンナーがたくさん!
ベオグラードのパン屋
ベオグラードにあるパン屋さん。パンのほかにサンドイッチやピザ、スイーツも。

とにかく、カザフスタンから来た私たち二人にとっては、何もかもがおいしい!というイメージだ。(気に入ったレストランやカフェはまた別の記事にまとめる予定)

 

 

さらに私たちがベオグラードが気に入った理由は・・・↓

住みやすい環境と居心地の良い街並み

 以前の記事にも書いたが、カザフスタンは気候が非常に厳しい。ロシア語だとРезко-континентальный климат(レースカ コンチネンターリニー クリマト)といわれ、気温差が激しいことが特徴の「大陸性気候」の前に「極端な」という意味のРезкоという単語がくっついている。

夏場も今日35度まで気温が上がったかと思えば次の日は15度くらいしかないなんてこともしょっちゅうだし、冬は冬でマイナス35度くらいまで気温が下がったりする。生きていくのは大変ではない。加えて、天然資源の採掘やバイコヌールからの影響、また古い自動車やディーゼルが走っているせいで空気も悪く、水も悪いところが多い。

 

それと比べてベオグラードは・・・というと、11月の終わりから12月にかけての気候は日本の東京の真冬くらいの気温で、ほどよくしっとりした空気が非常に心地よい。冬場は日が落ちるのが非常に早く、16時を過ぎると次第に暗くなっていくのだが、これくらいの気候ならもちろん暖かく着込んで街中を散歩することだって可能。以下の2枚の写真から、気候の違いが少しわかってもらえるのではないかと思う。

カザフスタン中部の11月末の景色。すでに雪に覆われ、緑はない。
カザフスタン中部の11月末の景色。すでに雪に覆われ、緑はない。
ベオグラード11月末の景色
ベオグラード11月末の風景。木の葉はだいぶ落ちているものの、芝生は青く、しっとりとした空気。

 

滞在していたB&Bはベオグラードのスターリ・グラード(旧市街)で、近くに名所もあり、古いヨーロッパの建物も多く、道は黒い石畳で美しい街並みが多い。ひんやりとした空気のなか、美しくライトアップされた街を歩くのはなんともロマンチック。もちろん、どこもかしこもというわけではなく、アスファルトで舗装された道やコンクリートの灰色の建物といった日本の街を思わせるようなところも結構ある。

カザフスタン中部の山も丘もなく、道が無駄に広い土地にすっかり慣れてしまった私は、街中に坂道があって、一方通行の狭い道に3階建てくらいの建物が並んでいるだけで、なんだか懐かしい気分になった。

 

写真での比較をしてみると・・・

カザフスタン中部の街の一風景
カザフスタン中部の街の一風景。大体どこもこんな感じで、道も空も広い。
ベオグラード旧市街の一風景
ベオグラード旧市街の一風景。道路も広くなく、街のスケール感がいい感じ。
ベオグラード旧市街にあるレストラン街
ベオグラード旧市街にあるレストラン街。石畳の美しい通りだった。
ベオグラードの古本市
ベオグラードの古本市。狭い通りがいい感じ。カザフスタンではまず見られない風景。

 

市内を走るバスやトラムも電線からの電力で走るエコロジカルなものが多く、空気は幹線道路沿いを歩く場合を除いてさほど息苦しさを感じることはない。街の中には緑も多く、サヴァ河畔には自転車用と歩行者用の道が川に沿って10km以上続いていて、ランニングやサイクリングなどのフィットネスにもうってつけだ。

 

そして水。ヨーロッパでも水道水が飲めない都市は結構あるが、ベオグラードは水道水を飲んでも大丈夫だから驚きだ(実際に水道水から飲んでいたが、おなかの調子も良好だった)

日本から来た日本人にとっては、そんなに感動するほどではないかもしれない。が、ヨーロッパで、ヨーロッパと日本の雰囲気を味わえるベオグラードは、カザフスタンの生活に疲れた私にとっては癒しのひと時だった。

 

 

そして、もうひとつ、大切なポイントは・・・

セルビア人はいい人たちだ

旧ユーゴスラビアの国、というと激しい民族・宗教の対立で長く内戦が続いていた国のためか、人が良いというイメージはあまりなかったのだが、セルビアの人たちは本当に親切だし、フレンドリーだ。

3週間の滞在のなかで、現地の数多くの人に大小さまざまな場面で助けられた。道を聞けばちゃんと私たちに分かるようにと気を使いながら丁寧に説明してくれる。(カザフスタンでは、道を教えてくれはするのだが、間違った情報を自信満々に教える人が少なくない。分からないなら分からないと言ってくれればいいのに・・・と思う。苦笑)

カフェやスーパー、交通機関などで働く人たちのちょっとした対応の仕方、街中を歩く人々を見ていて、この国の人々の温かさが伝わってきた。少し前まで、争い合っていたような民族にはとても思えない、というのが本音だ。

滞在先のB&Bのオーナーから聞いた話だが、彼の親族が住むオーストラリアのメルボルンの人々は、非常に個人主義が強くて人づきあいが悪いのだという。隣同士に10年以上住んでいても全く互いのことを知らない、困ったことがあっても親身になって助けてくれる人は誰もいない。(オーストラリアへのイメージはそんなに悪くなかったので、驚きだった)。オーストラリアで育ったものの、その個人主義に嫌気がさしてセルビアに戻ってきたらしい。そんなセルビア人の彼も、非常に気遣いにあふれた親切なオーナーだ。滞在中に私たちの結婚記念日があるということを知った彼は、その日を覚えていて、当日ワインまでプレゼントしてくれた。

 

ちなみに、セルビア観光を考える人が気になる「治安」は、街全体が穏やかな感じで、「治安は全然悪くない」と私たちは感じた。暗くなってからも人通り、車の通りがそこそこあり、街の中心部は夜遅くまでお店やレストラン・カフェなどが営業しており、街中を一人で歩くのも怖くなかった。

ただ、スリはそこそこあるようなので十分注意が必要。基本的に観光先として選ぶのは治安的には全然問題ないと思う。

 

セルビア移住計画

私たち夫婦は三週間の滞在でセルビア、ベオグラードがすっかり気に入り、1年後には移住してこようという気持ちにまでなった。もちろん、いいことばかりではなく、問題もある。経済危機といわれて久しく、仕事を見つけるのは非常に大変だし、今後EU加盟に向けて様々な行政改革が行われていく過程で物価の上昇や失業者の増加も懸念されている。そういう状況の中、外国人の私たちが個人事業主として働き出して、どれほどうまく事が運ぶのか、不安でしょうがなくなることがある。

が、夫のほうは「最初の1年は大変だろうけど、なんとかやっていけるはずだ」という感じで、さほど心配していない。カザフスタン育ちのロシア人の夫は、周りにカザフスタンを離れて世界各地へと移住していった人をたくさん知っているため、そもそも「移住」するということを日本人が考えるよりよほど気楽に考えているし、カザフスタンという国への思い入れは全くないのだそうだ。移住の大変さと、カザフに住み続ける大変さを天秤にかけた時にどちらが大変か、と考えればおのずと出てくる結論は「移住」になってしまうのかもしれない。

 

追記) カザフスタンでは何でも気軽に計画し、気軽に計画倒れする事が多いので、セルビア移住計画が実現する日が本当にやってくるのか、それは誰にもわかりません(苦笑) 今年の終わりごろには当ブログでも移住の報告ができることを願いつつ、今回の記事はここで終わりにしようと思います。